【家族向け】認知症の症状と対応のポイント|中核症状とBPSDをやさしく解説

介護士

皆さんの周りや、親御さんはどうですか?「最近、物忘れが増えてきた」「何度も同じ内容の話をする」——それって、認知症のはじまりかもしれません。

この記事は、認知症の基本的な症状から、家族や周りの方ができる対応までを、介護福祉士として8年現場で働きながら認知症ケアを学んでいる私がまとめました。少しでも、介護で悩んでいる方の心の支えになれればと思います。

認知症そのものの基礎や種類(4つの型)については
認知症とは「歳のせい」ではなく脳の病気ですで詳しく解説しています。
この記事では「症状」と「具体的な対応のポイント」に絞ってお伝えします。

1. 認知症とは?

認知症とは、病気や障害により、記憶や思考などの認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす「状態」のことをいいます。実は特定の病名ではなく、アルツハイマー型などいくつかの病気の総称なんです。

高齢者に多いですが、若年性認知症(40歳ごろから)もあります。

原因となる4つの病気(アルツハイマー型・レビー小体型・血管性・前頭側頭型)の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。

認知症とは脳の病気?現役介護福祉士が4つの型と関わり方をやさしく解説

2. 認知症の主な症状

症状は大きく「中核症状」と「BPSD」の2つに分かれます。

■ 中核症状(脳の病気そのものから来る症状)

  • 記憶障害(最近のことを忘れる)
  • 失語(人の話についていけない)
  • 失行(服を着るのに時間がかかる。道具や機械の使い方が分からなくなる)
  • 見当識障害(時間・場所・人がわからなくなる)
  • 判断力や注意力の低下
  • 実行機能障害(段取りや計画ができない)

■ BPSD(行動・心理症状)

中核症状に「不安」や「環境」が重なって、二次的に出てくる症状です。

行動にあらわれるもの

  • 徘徊、介護への抵抗
  • 怒りっぽくなる、興奮する
  • 不潔行為、非社会的な行動
  • 閉じこもり、同じ話を続ける

心にあらわれるもの

  • 幻覚・幻視、妄想(物盗られ妄想など)
  • 不安・恐怖、うつ症状
  • 不眠、無気力

大切なのは、BPSDは周りの関わり方しだいで軽くなる可能性があるということです。「急に怒り出す」場面の対応は、こちらにも詳しく書いています。

急に怒り出す高齢者。「なぜ?」認知症で怒りっぽくなる理由と対処法

3. 具体的な対応のポイント

  • 否定しない…「さっき言ったでしょ」ではなく、「そうだったね」と受け止める
  • 安心できる環境づくり…見やすい時計、わかりやすいカレンダーなどを活用
  • 声かけはゆっくり、短く…一度にたくさん言わず、ひとつずつ伝える
  • 生活リズムの安定…食事・睡眠・トイレの時間をできるだけ一定に

完璧にやろうとしなくて大丈夫です。「今日はこれができた」で十分ですよ。

4. 家族が知っておくと安心なこと

  • 症状は人それぞれ。「その人らしさ」を大切に
  • 初期〜中期での対応が大切。早めの受診と診断で、支援が受けやすくなります
  • 一人で抱えないで。地域包括支援センター(高齢者の無料相談窓口)や介護サービスの利用を
  • そして何より——本人は、忘れることに不安や恐怖があることを知っていてください

5. まとめ

認知症は「治らない病気」と言われることもありますが、「その人らしく過ごす」ための関わりが何よりも大切です。

BPSDの症状は、本人の不安や恐怖などのストレスから強く出てしまうことがあります。逆に言えば、安心できる関わりで症状が少し落ち着くと、「少し良くなった」と思える瞬間が生まれます。

イギリスの心理学者トム・キットウッドが提唱した「パーソンセンタード・ケア」では、認知症の人は次の5つのニーズが満たされることを望んでいる、とされています。

  1. くつろぎ
  2. 結びつき
  3. 共にあること
  4. 携わること
  5. 自分が自分であること

団塊の世代が75歳以上となった今、後期高齢者はこれからもどんどん増えていきます。一人で抱え込まず、他人事と思わず、地域みんなで支えて、「誰もがなりうること」ととらえて頂けたらうれしいです。

家族や周囲の理解と支えが、本人の安心につながります。この記事が、認知症と向き合う皆さんの少しでも助けになれば幸いです。

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