親の介護をしていると「なんで、できなくなるの?」という気持ちのなかで、悲しみや怒りなど、いろいろな感情と格闘していると思います。
大好きな、尊敬する親だからこそ、できなくなっていく姿や、子供っぽくなっていく姿を見るのはつらいものですよね。
こんにちは、tmoです。40歳から介護の仕事を始めて8年、介護福祉士として現場で高齢者の方と毎日関わっています。
高齢者だからみんながなるわけではありませんが、認知症は「歳のせい」ではなく脳の病気です。この記事では、高齢者に多い認知症4つの型と、家族ができる関わり方を、現場の目線でやさしくお話しします。
認知症は「歳のせい」ではなく脳の病気です
「最近もの忘れが増えたなぁ」は、誰にでもあります。でも、老化のもの忘れと認知症には違いがあります。
- 老化のもの忘れ…体験の一部を忘れる(朝ごはんの「おかず」を思い出せない)
- 認知症のもの忘れ…体験そのものを忘れる(朝ごはんを「食べたこと自体」を忘れる)
本人が「忘れちゃった」と自覚があるうちは老化のことが多く、「食べてない!」と体験ごと抜け落ちてしまうときは、脳の病気が隠れているかもしれません。
高齢者に多い認知症 4つの型
ひとくちに認知症といっても、原因となる脳の病気によって症状も対応も変わります。代表的な4つをご紹介します。
① アルツハイマー型認知症
いちばん多い型です。記憶をつかさどる脳の部分が少しずつ縮んでいくため、新しいことから忘れていきます。
よくある症状
- もの忘れ(さっき聞いたことを忘れる)
- 時間や場所があいまいになる
- 同じことを何度も繰り返し聞く
- だんだん日常生活に支障が出てくる
関わり方のコツ
- 否定せず、まず受け止める
- 思い出せないことを責めない(本人がいちばん不安です)
- ゆっくり、やさしい口調で接する
- 自尊心と「できること」を大切にする
② レビー小体型認知症
よくある症状
- 実際にはいない人や動物が見える「幻視」(夕方〜夜に多い)
- 日によって調子が大きく変わる(ぼんやりした日と、しっかりした日がある)
- 歩き出しにくい、小刻み歩行、転びやすい
- 夢の中の行動を体がそのまま再現してしまう(大声・手足をばたつかせる)
関わり方のコツ
- 見えているものを否定しない(本人には本当に見えています)
- 影ができにくい明るい部屋にする
- 転倒防止のマットなどで環境を整える
- 「1、2、1、2」の声かけでリズムをつけると歩きやすくなることもあります
③ 血管性認知症
脳梗塞や脳出血など、脳の血管のトラブルが原因で起こる型です。
よくある症状
- できることと、できないことの差が大きい(「まだら認知症」と呼ばれます)
- 階段を下りるように、段階的に進む
- ちょっとしたことで泣いたり怒ったり、感情のコントロールが難しくなる
関わり方のコツ
- できることまで取り上げない(できる力は残っています)
- 感情の波は病気のせい。本人の性格が変わったと責めない
- 再発を防ぐことが大切なので、血圧などの体調管理は医師と相談を
④ 前頭側頭型認知症(FTD)
性格や行動をつかさどる脳の前のほうから変化していく型で、比較的若い年代でも起こります。
よくある症状
- 人柄が変わったように見える(温厚だった人が怒りっぽくなるなど)
- 毎日同じ時間に同じ行動を繰り返す
- 我慢がきかなくなり、マナー違反のような行動をしてしまう
関わり方のコツ
- 「わざとやっている」のではなく、脳の病気の症状です
- 決まった行動パターンは無理に止めず、安全な形で活かす
- 家族だけで抱えず、早めに専門職へ相談を
「あれ?」と思ったら、家族にできること
見た目では分かりません。話をしたり、付き合いをしているうちに、家族や近い人が変化に気づくことがほとんどです。
- かかりつけ医や「もの忘れ外来」に早めに相談する(CTなどの検査ではっきり診断がつきます)
- 本人を責めない、間違いを正しすぎない
- 一人で抱え込まず、地域包括支援センター(高齢者の相談窓口)を頼る
早く分かれば、薬で進行をゆるやかにできる場合や、利用できるサービスもあります。「様子を見よう」より「一度相談しよう」をおすすめします。
現場で働く私が思うこと
介護の現場で毎日認知症の方と関わっていると、同じことを何度も聞かれたり、夕方に「家に帰る」と落ち着かなくなったり、教科書どおりにいかない場面がたくさんあります。そんなときの具体的な対応は、こちらの記事に詳しく書いています。
まとめ
- 認知症は「歳のせい」ではなく脳の病気
- 型によって症状も関わり方も違う
- 共通するのは「否定しない・責めない・一人で抱えない」
だれもが歳をとります。誰もが脳の病気になるかもしれません。元気にみえても「少し変なこと言うなぁ」「変な動きしてるなぁ」という周りの小さな気にかけで、高齢者はぐっと生活しやすくなると思います。
みんなで、歳をとっても安心できるように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※この記事は介護職としての経験と一般的な情報をもとに書いています。診断や治療については、必ず医療機関にご相談ください。
