この記事のゴール:
親の「あれ?」に気づいたとき、家族だけで抱えずに相談へつなげられるようになること。
こんにちは。現役9年目の介護福祉士のtmoです。
「それ、さっき聞いたよ?」とそんな一言に、ドキッとしたことはありませんか。
今回は、介護の仕事をしている私が、自分の息子から物忘れを指摘された話を書きます。施設の介護士としてではなく、シングルマザーとして、そしてこれから年を重ねていく「親」の立場からの話です。
親の言葉や行動を見て「もしかして認知症の始まりかも」と不安になっている方に、読んでもらえたらうれしいです。
高校生の息子に、物忘れを指摘された日
最近の私は、物忘れや、自分で言ったことを忘れてしまうことが増えて、息子を困らせていました。特に、ながら作業をしながら答えたことは、記憶に残っていないのです。
言われた息子のほうは、ちゃんと覚えています。親が忘れてしまっていることへのショックと怒りが、少しずつたまっていたのだと思います。ある日、それが一気にあふれました。
- 「もう、なんで忘れているんだ」
- 「何回も聞かないでくれないか」
- 「前も聞いたかもしれないと考えて、最初に謝ってから聞いてくれないか」
息子も感情のままぶつけられました。たくさんぶつけられて、私は「ごめん」としか言えませんでした。
忘れていく本人も、本当は悔しい
口では「ごめん」しか言えなかった。心の中ではこう叫んでました。
好きで忘れているわけじゃないんだよ。自分でも悔しいんだ。記憶の維持ができていない自分。
怒りは息子にではなく、忘れてしまう自分自身に向いて悲しくなった。
介護の仕事でも、バタバタした毎日の中で、業務を忘れて抜けてしまったりそのたびに「私は大丈夫なんだろうか」と不安になります。
子育てが終わりに近づいて、これからは一人で過ごす時間が増えていきます。子育てに追われていた頃より、頭を使う場面は減っていくかもしれません。自分にゆとりが生まれたことで、かえって心配ごとが増えたように感じています。
数時間後に届いた「ごめんね」のメール
その日、数時間たってから、息子から「ごめんね」とメールが届きました。息子も言いすぎたと感じていたようです。
それからは、前に話したことだと言いながらも、もう一度教えてくれるようになりました。二人で何かルールを決めたわけではありません。息子が一歩引いてくれているのかもしれません。
親として、息子のこの気づきに感謝しなければいけないと感じました。
同時に、こうも思いました。これから親の衰えを感じていく子どもは、きっと多いはずです。たまに会ったときに、親の様子を見て「あれ?」「もしかしたら」と気づくきっかけになればと思い、この記事を書くことにしました。
同じことを何度も聞かれたときの接し方は、介護現場での経験をこちらにまとめています。
認知症で何度も同じことを聞かれるときに、私が変えた対応と考え方
若年性認知症は50歳前でもなることがある
認知症は、高齢の人だけの病気ではありません。65歳未満で発症するものを「若年性認知症」といい、50歳前でもなる人がいます。
実は私自身も、物忘れが増えて「もしかして」と不安になることがあります。
親がまだ若いからといって「まだ大丈夫」と決めつけないでほしい。それが、介護の仕事をしている私の本音です。
家族に気づいてほしい「あれ?」のサイン
家族として見ておいてほしいサインをまとめました。親の様子を思い浮かべながら、はい・いいえで確かめてみてください。我が家で実際にあったことと、介護の仕事でご家族から「実は前からおかしいと思っていた」とよく聞くことを合わせています。
話や記憶のサイン
- 「あれ?それさっきも話してなかった?」が増えた
- 出来事をまるごと忘れている
- 人の名前を間違える
- 日にちを間違える
暮らしのサイン
- 家の中に同じ物が増えている
- 買った記憶がない物がある
- 飲み薬が減りすぎている、または減っていない
- お金の管理があやしくなった
気持ちや様子のサイン
- 身だしなみに気をつかわなくなった
- 同じ服を何日も着続けている
- 好きだった趣味をやめた
- 怒りっぽくなった
これは病院の診断ではなく、私が家族として、介護士として見てきたことからまとめた目安です。当てはまっても、認知症と決まるわけではありません。いくつか当てはまって、前より増えてきたと感じたら、早めに相談してみてください。
物忘れのすべてが認知症とは限らない
物忘れがあっても、全部が認知症というわけではありません。体調をくずしたときや強いストレスがかかったときに、一時的に頭が混乱する「せん妄」という状態もあります。
なので、家族だけで「認知症だ」「違う」と決めてしまわずに、専門の人に見てもらうことが大切です。
認知症と分かったあとの症状や、家族の対応のポイントは、こちらの記事でやさしく解説しています。
おかしいなと思ったら、まずは相談を
相談できる場所は、思っているよりたくさんあります。
- 地域包括支援センター(すべての市町村にある相談窓口)
- かかりつけ医
- もの忘れ外来など、認知症に詳しい病院
- 認知症の人と家族の会の電話相談(0120-294-456)
- 若年性認知症コールセンター(0800-100-2707)
電話相談の受付時間は、厚生労働省の「認知症に関する相談について」のページで確認できます。このページでは、症状が軽いうちに気づいて適切な治療を受けられれば、薬で進行を遅らせられることもあると紹介されています。
認知症は脳の病気です。本人の努力や気合いでどうにかなるものではなく、少しずつ進んでいきます。だからこそ、家族だけでどうにかしようとせず、人を頼ってほしいと思います。
離れて暮らす親には、見守りカメラという方法も
私は愛犬の見守りに、スマホで様子が見られるカメラを使っています。外から声をかけられて、何をしているかいつでも見られます。暗くても赤外線で動きが分かるので、夜も安心です。
使っているうちに、離れて暮らす親の見守りにも役立ちそうだと感じるようになりました。
ただ、介護士として一つだけ伝えたいことがあります。親の部屋にカメラを付けるときは、必ず親本人に話して、納得してもらってください。黙って付けると「監視されている」と感じて、親子の関係がこじれてしまうことがあります。
まとめ
息子に物忘れを怒られた日、私は「ごめん」としか言えませんでした。それでも、数時間後の「ごめんね」のメールと、今も一歩引いて教えてくれる息子の姿に、たくさんのことを教えてもらいました。
親の「あれ?」に気づけるのは、近くにいる家族です。気づいたときに責めるのではなく、相談へつなげてもらえたらと思います。
この記事で伝えたかったこと:忘れていく親自身も、忘れてしまうことに不安とストレスを抱えています。でも悲しいことに、認知症は脳の病気なので忘れてしまい、少しずつ進んでいきます。「おかしいな」と思ったら、自分たちだけでどうにかしようとせず、人を頼って相談してください。もっと世の中の人に認知症を知ってもらいたい。そして、若い頃のようにできなくなっていく「老い」のことも知ってほしいと思っています。
