この記事のゴール
「未経験で介護の仕事なんて、私に務まるのかな…」——これから介護の世界に飛び込む方、入ったばかりで不安な方へ。40代・未経験から始めた私が、初日と最初の1ヶ月で本当に大変だったこと3つを、きれいごと抜きで振り返ります。どう乗り越えたのかも、正直にお話しします。
こんにちは。現役9年目の介護福祉士のtmoです。
私は40代・まったくの未経験から介護の仕事を始めました。今でこそ9年目ですが、最初の1ヶ月は「もう辞めたい」と何度思ったか分かりません。40歳で介護の世界に飛び込んだ経緯は、40代・未経験から介護福祉士になるまでの記事にくわしく書いています。
今日はその続きというべき話——未経験の初日と最初の1ヶ月、現場で何が大変だったのかを、当時を思い出しながら正直にお話しします。読み終わるころには、「大変そうだけど…なんとかなりそう」と、少し肩の力が抜けているはずです。
大変だったこと①:利用者さんの顔と名前が、覚えられない
未経験で入って、最初にぶつかった壁がこれでした。利用者さんの顔と名前を覚えることです。
実は私、昔から顔と名前を覚えるのが大の苦手。人の名前がすっと出てこないことが、ずっと自分の中で大きな不安でした。それなのに介護の仕事では、毎日何人もの利用者さんと接します。「呼び間違えたら失礼になる」——そう思うと、初日は本当に緊張しました。
私がやったこと:とにかくメモ
メモ帳をいつも持ち歩いて、利用者さんの特徴と名前をひたすら書きまくりました。私は覚えるのが人より遅い。だから仕事が終わったら、その日のメモをまとめ直す。それを来る日も来る日も、毎日毎日続けました。
先輩方は「3ヶ月もすれば自然と覚えていくよ」と声をかけてくれました。その言葉に支えられながら、私は私のやり方で、とにかく数をこなしていったんです。気づけば、ちゃんと顔と名前が一致するようになっていました。
今「覚えられなかったらどうしよう」と不安な方に伝えたいのは、覚えるのが遅くても大丈夫、ということ。毎日コツコツ続ければ、頭ではなく体が覚えてくれます。ちなみに、名前以外に新人がまず覚えるべき仕事は介護士が最初に覚えるべき仕事3選の記事にまとめています。
大変だったこと②:移乗で、腕に力が入らなくなった
次にきつかったのが体力面。中でも「移乗(いじょう)」でした。
移乗というのは、利用者さんをベッドから車椅子へ、というように体を支えて移す介助のことです。これが未経験の私には、まったく分かりませんでした。腕の力だけでもちあげてしまっていて、何回もやっているうちに、腕に力が入らなくなってしまうほど。自分の体をどう使えばいいのか、最初は本当に手探りでした。
私がやったこと:聞きまくる、そして「やらせてください」
先輩に、何度も何度も聞きました。それも一人ではなく、いろんな先輩に。「この人のここがいいな」という部分を、いいとこ取りさせてもらったんです。
そして、とにかく数。先輩がやろうとしている移乗まで「やらせてください」と横取りするくらいの勢いで、場数を踏みました。私は、それくらい体を動かさないと覚えられないタイプなので。
「力もないし、できるか不安」という方も大丈夫。移乗は腕力ではなくコツです。聞いて、見て、とにかくやってみるうちに、体がちゃんと覚えてくれます。
移乗のコツ「ボディメカニクス」——9年目の今なら、こう教えます
当時の私は知らなかったのですが、移乗には「ボディメカニクス」という体の使い方の基本があります。あのころの私に教えてあげたい気持ちで、特に大事なポイントをまとめておきますね。
- 足を肩幅より広めに開く——体を支える面が広がって、ぐらつかなくなります
- 膝を曲げて、腰を落とす——重心が低いほど安定します。腰への負担も減ります
- 利用者さんに、できるだけ近づく——離れたまま腕だけで支えようとすると、腕も腰もすぐ限界が来ます。密着が基本です
- 腕の力ではなく、足腰の大きな筋肉を使う——私が「腕に力が入らなくなった」のは、まさに腕だけで頑張っていたからでした
- 利用者さんの体を小さくまとめる——腕を胸の前で組んでもらう、膝を立ててもらうだけで、驚くほど動かしやすくなります
- 持ち上げない。水平に、重心移動で——「よいしょ」と持ち上げるのではなく、自分の体重を移しながら滑らせるように
- 体をねじらない——つま先を、移動する方向に向けておく。腰を痛める人の多くは、ここでねじっています
ベッドから車椅子への移乗、基本の流れ
あわせて、いちばん多い「ベッドから車椅子へ」の基本の流れも載せておきます。
- 車椅子をベッドの近くに、少し斜めに置く——ブレーキをかけて、フットサポート(足置き)を上げておきます。この準備を忘れると事故のもとです
- 浅く座ってもらい、足を少し引いてもらう——深く座ったままでは立てません
- 「お辞儀をするように」前かがみになってもらう——人はお辞儀の姿勢から立ち上がります。真上に引っ張っても立てません
- 声をかけてから動く——「1、2の3で立ちますね」。この一言で、利用者さんも一緒に動いてくれます
- 密着して、重心移動でゆっくり方向を変えて、座ってもらう——最後まで「持ち上げない」が合言葉です
そしてもう一つ、大事なこと。利用者さんが自分でできることは、奪わない。全部こちらでやろうとすると、お互いに大変になるだけでなく、利用者さんの力も落ちてしまいます。「できるところは、やってもらう」——これも移乗のコツのひとつです。
※移乗のやり方は、利用者さんの状態(麻痺の有無・立てるかどうか等)によって大きく変わります。ここに書いたのはあくまで基本の考え方なので、実際の現場では必ず職場の先輩や研修の指導のもとで行ってくださいね。
大変だったこと③:定時に帰れない。「時間は自分次第」の世界
もう一つ、地味にこたえたのが働き方のギャップでした。
介護の前の職場は、定時になればチャイムが鳴る、時間にきっちりした世界でした。ところが介護業界に入ってみると、先輩方でさえ定時には帰れていない様子。「時間は自分次第」という感覚なんです。仕事量も多く、時間内には終わらない。定時に帰れないことが、私はすごく嫌でした。
正直に言うと、今も完全には解決していません
9年経った今も、業務中にやりきれず残業になってしまうのが現状です。とにかく事務作業が多くて、手書きの記録も多い。いつもバタバタと手を動かし続けている、そんな毎日です。
ただ、私なりの折り合いはつけました。用事がある日は、きちんと帰る。そう決めたことで、ずいぶん楽になりました。
だからこれから入る方には、先に知っておいてほしいんです。「時間内に全部終わらなくても、あなたのせいじゃない」ということ。慣れないうちは終わらなくて当たり前。段取りは少しずつ分かってきますから、焦らなくて大丈夫です。
まとめ:それでも私が、9年続けてこられた理由
名前が覚えられない。移乗で腕に力が入らない。定時に帰れない。——最初の1ヶ月、何度も「辞めたい」と思いました。
それでも今日まで9年続けてこられた理由は、はっきりしています。
人に恵まれていたからです。
利用者さんからの「ありがとう」の一言に、何度も救われました。何度同じことを聞いても、嫌な顔せず教えてくれた先輩や仲間がいました。そして、息子のためにも踏ん張ろうと思える存在がいました。
これから未経験で介護の世界に入るあなたへ。大変なことは、正直たくさんあります。でも、一人で抱えなくて大丈夫。周りの人に頼りながら、あなたのペースで、体で覚えていけばいい。この先「介護福祉士を目指したい」と思ったら、勉強が苦手だった私でも受かった「さかのぼり」勉強法の記事も待っています。
あんなに不安だった私でも、9年続けられました。きっと、あなたも大丈夫です。
この記事で伝えたかったこと
未経験の最初の1ヶ月は、名前が覚えられない・移乗ができない・定時に帰れない——大変なことだらけでした。でも、メモと場数で体は必ず覚えてくれるし、終わらないのはあなたのせいじゃない。そして周りの人に頼っていい。人に恵まれれば、この仕事は9年続けられます。

