この記事のゴール
・人間関係がいい職場でも、責任感が強い人ほど疲れていく理由がわかる
・仕事が「気づく人」に偏っていく、悪意のない仕組みが見える
・抱え込まずに伝えるための、具体的な言い方を持ち帰れる
こんにちは。現役9年目の介護福祉士のtmoです。
「職場の人間関係は悪くない。むしろ、みんないい人。それなのに、どうしてこんなに疲れているんだろう」
そんなふうに感じたことはありませんか。
介護の仕事を辞める理由といえば「人間関係」が定番です。でも、私が9年間の現場で見てきたのは、少し違う辞め方でした。人間関係はいい。悪口を言う人もいない。それなのに、長く働いている人ほど、静かに削られていくのです。
今日は、その「いい職場なのに潰れていく」仕組みについて、正直に書いてみようと思います。
人間関係が悪いから辞めるわけじゃない
以前、尊敬していた先輩が辞めてしまったときのことを記事にしました。
▶ 【現役9年目】長く働いてきた人が辞めてしまう職場|尊敬する先輩はなぜ消耗したのか
あのときも、辞めた理由は「人間関係が嫌だから」ではありませんでした。まわりはいい人ばかりで、誰も悪意なんて持っていない。それでもその人は、疲れ切っていました。
人間関係が悪い職場なら、まだ話は簡単なんです。「合わないから辞める」と決められるから。
本当にしんどいのは、いい職場なのに、自分だけがボロボロになっていくときです。逃げ場も、怒る相手もいないのですから。
いい職場ほど、仕事は「気づく人」に集まっていく
では、なぜいい職場で偏りが起きるのか。私の現場で実際に起きていることを、4つ挙げてみます。
① 記録や書類は、結局できる人のところへ
パソコンが苦手な人は、なかなか覚えようとしません。仕事もゆっくりなので、頼めばその人の残業が増えてしまいます。
だから、まわりが気を遣って頼まなくなるんです。「あの人に振ったら、帰れなくなっちゃうよね」と。
これ、優しさなんですよね。悪気なんて誰にもない。でも、その優しさの行き先はいつも決まっています。できる人のところです。
②「あの人に聞けばわかる」で、質問が集中する
長くいる人に質問が集まるのは、ある程度は仕方のないことだと思います。
ただ、よく考えると——覚えている人なら、ベテランじゃなくてもいいはずなんですよね。3年目でも1年目でも、覚えた人が答えられればいい。
それでも「とりあえずベテランに聞こう」が習慣になると、その人は自分の仕事の手を、1日に何度も止めることになります。
③ 大変な利用者さんは、気づいた人がやってしまう
対応が難しい利用者さんほど、「気づいた人」が動きます。そして気づくのは、だいたい同じ人です。
若手が自分から「やります」と言いづらいのもあると思います。時代なのか、人によるのかは私にも分かりません。ただ、手が挙がらなければ、気づいた人がやるしかないのです。
こうして、誰が決めたわけでもないのに「なんとなくあの人の担当」ができあがっていきます。
④ 新人の指導係も、毎回同じ人
今はキャリアアップの制度で「指導職」という立場がありますが、私のまわりでは、その立場になるずっと前から指導していた人がほとんどです。
やっていることは同じなのに、手当がつくかどうかで扱いが変わる。そこでやる気をなくしてしまう人も、何人か見てきました。
新人が最初の1ヶ月にどんな思いをしているかはこちらの記事に書きましたが、教える側にも、同じだけの負担がかかっています。
誰も悪くない。だから、余計に苦しい
ここまで読んで、気づいた方もいるかもしれません。この4つ、どれも「誰かが悪い」話ではないんです。
- 頼まない人は、相手に気を遣っている
- 質問する人は、いちばん確実な人に聞いている
- 気づいて動く人は、利用者さんのために動いている
- 指導する人は、後輩を放っておけない
全員が、まっとうなことをしている。それなのに、責任感が強い人のところにだけ荷物が積まれていきます。
人間関係が悪ければ「あの人のせいだ」と言えます。でも、いい職場では怒る相手がいません。だから「疲れている自分が悪いのかな」と、自分を責めてしまう。ここが、いちばん危ないところだと私は思っています。
私が9年続けてこられた理由
正直に言うと、私はもともと抱え込まないタイプです。たぶん、それだけの理由で今日まで続けてこられました。
「続けられないこと」を引き受ける方が、迷惑になる
現場で「できません」と言うと、「そんな感情論で話してはいけない」というようなことを言われることがあります。
でも私は、こう考えています。
最初だけ頑張れても、続けられないことを引き受ける方が、結果的にまわりに迷惑をかける。
途中で倒れる、途中で投げ出す、途中で質が落ちる。そのほうが、よっぽど人を困らせてしまいます。
私は、やると決めたら最後までやります。だからこそ、引き受ける仕事の中身は自分で決めています。冷たいのではなくて、むしろ逆なんです。
実際に私が使っている伝え方
偉そうなことは言えませんが、私が実際に使っているのはこの2つだけです。
1.時間を区切って伝える
「今日は◯◯があるので、それが終わってからでいいですか」
全部を断るわけではありません。「いつならできるか」を先に出すだけです。相手も予定が立てられるので、案外すんなり受け入れてもらえます。
2.はっきり「できません」「やりません」と言う
これは勇気がいります。言いにくいのも分かります。でも、あいまいに返事をして相手に期待させる方が、あとでずっと困らせてしまうんです。
自分が崩れないことを、いちばんに考えていい
最後に伝えたいのは、これです。
自分が崩れたら、家族に迷惑をかけます。そして結果的に、会社にも迷惑をかけることになります。だから私は「自分が崩れないこと」を第一に考えています。
きれいごとではありません。私自身、頑張りすぎた先で実際に病気をした経験があるからです。
健康が一番。これは今なら、はっきり言えます。
今、いい職場なのに苦しいと感じている方へ。あなたが少し我慢をやめても、職場は壊れません。むしろ、あなたが倒れたときのほうが、みんなが困ります。
断ることは、逃げることではありません。長く働き続けるための、立派な技術だと思っています。
この記事で伝えたかったこと
・人間関係がよくても人は辞める。いい職場ほど、仕事は「気づく人」に集まるから
・誰も悪くないからこそ、責任感の強い人は自分を責めてしまう
・続けられないことを引き受ける方が、結果的に迷惑になる
・「いつならできるか」を伝える。それでも無理なら、はっきり断っていい
・自分が崩れないことを第一に。健康が一番です

